第4回 「北条時宗」は視聴率を気にするな!!@
NHKが大河ドラマ「北条時宗」の視聴率を気にしているようだ。
だが視聴率は公共放送であるNHKが気にする必要がない数字だ
古くからの大河ドラマファンとして
私は「何を焦る必要がある」といいたい。

それよりも、むしろ「時宗」は
このころの日本が
すでに国際社会の一員であったということを描いているということだけでも珠玉だし
キャストがいい。
先ず時宗の父である最明寺入道時頼役の渡辺謙がいい。
もうここで書き尽くせないほどいい。
また鎌倉時代の主役の一人である北条政村役に伊東四朗
日蓮に奥田瑛二というのもいいし、池畑慎之介の金沢実時、柳葉敏郎の安達泰盛などみないい。
特に私が感銘を受けたのは平幹二郎扮する北条一族の長老重時(極楽寺殿)の描き方だ。
一門の結束を図りつつ、己の欲望を抑えるのに苦しむ姿が良く描かれていた。
結局、重時は自分の欲望を最期まで押さえ一門の繁栄を祈りつつ死んでいくのだが
その人間くさい部分と賢明な政治家としての部分を平が見事に演じきっていた。
また、その弟の政村の描き方もいい。
私はこの政村が鎌倉時代最大の政治家の1人と考えているのだが
ああいう泥臭い部分も当然あっただろうなと思うのだ。
さらに、熱血漢にしか見えない安達泰盛にも野望の片鱗が見える。
今も昔も
人間誰しも欲望があり、それに何とか折り合いをつけて生きている。
井上由美子という脚本家はそのことを描こうとしているのだろう。

ともかく
「時宗」は視聴率などに惑わされず
今観てくれている人たちのために、その目的を貫くべきだ。
どうせ民放のように広告主がいるわけでもないのだから、作品のクオリティーを充分重視できるはずだ。

制作者側で焦って折角の名作を駄作にしてしまわぬように祈りたい。
(文中、敬称略、つづく)
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